図解 観応の擾乱と南北朝動乱
書籍紹介
本書は、鎌倉幕府の滅亡から建武の新政を経て、南北朝動乱・観応の擾乱・室町幕府の成立を詳細に記述している。
室町もまた動乱の中で誕生したが、その動乱は後の戦国の世とはまったく違う違うニュアンスを持っている。英雄が徐々に全国を統一し、新しい世界を築き上げていくような雄々しさは室町の成立期にはない。
強いか弱いかだけでは決まらない面倒さが室町の持ち味ともいえ、南北朝動乱と観応の擾乱に始まり、応仁の乱でフェードアウトしていく、それが室町といってもよい。
武士ばかりでなく朝廷も分裂に陥った時代である。「南朝」と「北朝」というふたつの朝廷が同時に存在し、どちらの朝廷にも天皇がおり、関白や大臣などの公卿もおり、元号も別々のものを使っていた。しかも両朝は武力で対立し、それが56年間も続いたのである。
足利尊氏、新田義貞、楠木正成といった「太平記」で有名な武士たちも南北に分かれて激しく戦った。
さらには観応の擾乱が起こり、最後には足利尊氏、直義は兄弟で戦うことになる。本書で彼らの戦いの数々と行く末をじっくりと見ていただきたい。
著者紹介
水野 大樹(ミズノ ダイキ)